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マッスルメモリーとは?
マッスルメモリーとは、「筋肉の記憶」という意味で、筋トレを休んだとしても、休む前までの筋力や筋肉量を体は覚えているため、すぐに元通りに戻る現象のことです。
この現象については、筋細胞の核の数に着目した研究論文が発表されています。
例えば、ある人が5年間筋トレをして鍛えたとします。
その後、仕事や家庭の事情で1年間全く筋トレをしなくなりました。
すると、当然ながら筋力や筋肉量は減少してしまいます。
ですが、その人が再び筋トレを始めたらどうなのでしょうか?
実は、最初からやり直す必要はないのです。
数ヶ月程度で元の状態に戻れる可能性が高いんです。
それどころか、前よりもさらに筋力や筋肉量が増えることもあります。
これがマッスルメモリーです。
一度鍛えたことがある人ほど、マッスルメモリーが強く働く傾向にあります。
逆に言えば、初めて筋トレをする人はマッスルメモリーがないので、筋力や筋肉量を増やすのに時間がかかります。
しかし、一度筋トレを習慣化してしまえば、その後はマッスルメモリーの恩恵を受けられるのです。
マッスルメモリーのメカニズム
では、マッスルメモリーはどういうメカニズムで起こるのでしょうか?
それを理解するためには、まず筋肉がどうやって大きくなるのかを知る必要があります。
筋肉は細胞から構成されていますが、その細胞は他の細胞よりも大きく、多くの核を持っています。
核とは、DNAを含む細胞の司令塔で、筋タンパク質を作る指令を出します。
筋トレをすると、筋肉に負荷がかかり、細胞が損傷します。
すると、核は損傷した部分を修復するために、筋タンパク質を合成して筋肉細胞を大きくします。
これが筋肥大と呼ばれる現象です。
しかし、一つの核が支配できる筋肉細胞の範囲には限界があります。
一定の大きさ以上になると、核はもう筋タンパク質を合成できません。
そこで、体は新たな核を増やすことで対応します。
新しく増えた核はそれぞれ自分の支配領域の筋肉細胞を大きくしていきます。
このプロセスの繰り返しによって、筋肉はさらに大きくなっていくのです。
つまり、筋トレで一番重要なのは、核の数を増やすことなのです。
ですがこれには時間がかかります。
数ヶ月程度では不十分で、少なくとも半年から1年以上はトレーニングを続ける必要があります。
では、マッスルメモリーとはどう関係しているのでしょうか?
実は、この核の数がカギになります。
人間の体は合理的なものなので、必要ないものはどんどん捨てていきます。
筋トレをやめると、体は大量のエネルギーが必要な筋肉は不要だと判断し、筋タンパク質を分解して筋肉細胞を小さくしていきます。
しかし、核自体はそう簡単に消えません。
2010年に行われた研究では、一度増えた核は15年間以上も減らないことが実証されました。
つまり、筋トレを再開したら、核の数はそのままなので、一番大変な核を増やす作業を飛ばして、すぐに筋タンパク質を合成して筋肉細胞を大きくしていけるということです。
これがマッスルメモリーのメカニズムであり、科学的に実証されている現象なのです。
マッスルメモリーの効果
ではマッスルメモリーによってどんな効果が得られるのでしょうか?
主に以下の3つが挙げられます。
- 筋トレブランクから復帰する際のメリット
筋トレを休んでしまったとき、多くの人は「もう一からやり直さないといけないのか」と落ち込んでしまいます。
しかし、マッスルメモリーがあれば、そんな心配は無用です。
マッスルメモリーによって、筋トレを再開したらすぐに元の状態に戻れる可能性が高いのです。
実際に、筋トレブランクから復帰した人たちの研究では、筋力や筋肥大の回復にかかる時間は、ブランク期間の半分以下であることが報告されています。
例えば、1年間休んだら、3ヶ月程度で元に戻れるということです。
これは、初めて筋トレをする人が同じレベルに達するのに比べて、かなり早いですよね。
また、マッスルメモリーは筋トレブランクから復帰するだけでなく、さらなる成長にも役立ちます。
一度増えた核は減らないので、筋肉細胞の合成能力は高まったままです。
つまり、前よりも少ない刺激で筋肥大が起こりやすくなります。
これを「再筋肥大」と呼びます。
再筋肥大によって、前回よりもさらに筋力や筋肉量を増やすことができる可能性があります。 - 筋トレのモチベーション維持
筋トレを続けるためには、モチベーションが非常に重要です。
しかし、忙しくて時間が取れなかったり、怪我や病気で休まざるを得なかったりしたとき、モチベーションは低下してしまいます。
そんなときにマッスルメモリーを知っていれば、安心できますよね。
マッスルメモリーがあれば、「せっかく鍛えた筋肉が無駄になる」という不安や焦りを感じる必要はありません。
むしろ、「休んでもすぐに戻れるし、前よりも成長できる」という自信や期待を持つことができます。
これは、筋トレのモチベーションを維持する上で大きな助けになります。 - 筋トレのバリエーションや強度の調整
マッスルメモリーは、筋トレのバリエーションや強度を調整する際にも役立ちます。
例えば、同じ種目や重量でずっとトレーニングしていると、体が慣れてしまって効果が出にくくなります。
これを「順応」と呼びます。
順応を防ぐためには、定期的に種目や重量を変えて刺激を変化させる必要があります。
しかし、新しい種目や重量に挑戦するときは、最初は苦労することもあります。
そんなときにマッスルメモリーを信じて頑張れば、すぐに慣れて成果が出ることでしょう。
また、マッスルメモリーは、筋トレの強度を調整する際にも有効です。
筋トレの強度とは、筋肉にかかる負荷のことで、重量や回数やセット数などで表されます。
筋トレの強度は、高すぎても低すぎても効果が出にくくなります。
適切な強度は、個人の目標や体力によって異なりますが、一般的には、筋肉が疲労するまでに8~12回程度の動作ができる重量が良いとされています。
しかし、この強度を維持するのは簡単ではありません。
筋肉が成長すると、同じ重量では負荷が軽くなってしまいます。
逆に、筋肉が落ちると、同じ重量では負荷が重くなってしまいます。
そこで、マッスルメモリーを利用して、筋トレの強度を調整することができます。
具体的には、以下のような方法があります。 - デロード
筋トレの強度を一時的に下げることで、筋肉や神経系の疲労を回復させる方法です。
デロードを行うと、一見筋力や筋肉量が落ちるように見えますが、マッスルメモリーによってすぐに戻ります。
むしろ、デロード後は成長ホルモンの分泌が増えたり、筋肥大のシグナルが増幅されたりすることで、さらなる成長を促します。 - オーバーリーチ
筋トレの強度を一時的に上げることで、筋肉や神経系に過剰な刺激を与える方法です。
オーバーリーチを行うと、一時的にパフォーマンスが低下したり、過剰疲労や怪我のリスクが高まったりします。
しかし、オーバーリーチ後に適切な休養を取れば、マッスルメモリーによってすぐに回復し、超回復と呼ばれる現象でパフォーマンスが向上します。
これらの方法は、マッスルメモリーを信じて挑戦することで効果的です。
ただし、デロードやオーバーリーチは高度なテクニックなので、初心者の方は無理せず自分のペースでトレーニングすることをおすすめします。
マッスルメモリーの活用法
マッスルメモリーは素晴らしい現象ですが、それを理由に筋トレをサボってもいいというわけではありません。
マッスルメモリーはあくまでも「休んでもすぐに戻れる」という保険のようなものであり、「休んでも成長する」という魔法ではありません。
筋トレを続けることが最も大切です。
しかし、どうしても休む必要がある場合や休みたい場合もありますよね。
そんなときは、マッスルメモリーを活用して最小限の努力で最大限の効果を得ることができます。
具体的には以下の方法があります。
- メンテナンストレーニング
筋トレの頻度や強度を下げても、最低限のトレーニングを続けることで、筋力や筋肉量の低下を防ぐ方法です。
メンテナンストレーニングには、週に1~2回程度、全身の筋肉を軽く刺激する程度で十分です。
メンテナンストレーニングを行うことで、マッスルメモリーを維持することができます。 - ホームトレーニング
ジムに行けない場合や外出自粛の場合でも、自宅でできるトレーニングを行うことで、筋力や筋肉量の低下を防ぐ方法です。
ホームトレーニングには、自重トレーニングやバンドトレーニングなどがあります。
ホームトレーニングを行うことで、マッスルメモリーを活かすことができます。 - ダイエット中の筋肉保持
ダイエット中は、カロリー摂取量を減らす必要がありますが、それによって筋肉も落ちてしまう可能性があります。
筋肉を保持するためには、高タンパク質の食事やサプリメントの摂取、適度な有酸素運動などが有効です。
また、マッスルメモリーを利用して、ダイエット後にすぐに筋トレを再開することも重要です。
まとめ
マッスルメモリーとは、筋トレを休んでもすぐに元の状態に戻れる現象のことです。
これは、一度増えた核が減らないことで起こります。
マッスルメモリーによって、筋トレブランクから復帰する際のメリットや、筋トレのモチベーション維持や、筋トレのバリエーションや強度の調整などが容易になります。
しかし、マッスルメモリーはあくまでも保険のようなものであり、筋トレを続けることが最も大切です。
マッスルメモリーを知っていれば、筋トレに対する不安や焦りを減らし、自信や期待を持つことができます。
これは、筋トレ初心者の方にとって大きな励みになるのではないでしょうか。
以上がマッスルメモリーについての記事でした。
この記事が読者の方々の筋トレに役立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!